補助金コラム

BtoB企業が補助金を活用すべき理由|設備投資・DX推進の好機

補助金

昨今のBtoB企業を取り巻く経営環境は、かつてないほど激しく変化しています。原材料価格やエネルギーコストの高騰、慢性的な人手不足、さらにはインボイス制度への対応や物流の「2024年問題」など、解決すべき課題は山積しています。こうした状況下において、多くの企業がコスト削減などの「守り」の経営に意識を向けがちです。しかし、厳しい環境だからこそ、他社との差別化を図り、生産性を劇的に向上させるための「攻め」の設備投資が必要不可欠です。

そこで、BtoB企業が戦略的に活用すべきなのが「補助金」です。補助金は単なる資金援助ではなく、事業の成長速度を加速させるための強力な経営ツールとなります。BtoB企業が今、補助金を活用すべき理由は大きく3つあります。

第一に、「投資リスクの大幅な低減とROI(投資対効果)の向上」です。
通常、数百万円から数千万円規模の機械設備やシステム導入を全額自己資金で行う場合、その回収には長い年月を要します。しかし、補助金を活用して費用の1/2から2/3を賄うことができれば、実質の負担額は大幅に減少します。これにより損益分岐点が下がり、投資回収期間が短縮されるため、ROIが劇的に向上します。キャッシュフローへの影響を最小限に抑えつつ、最新設備による競争力を手に入れることができるのです。

第二に、「対外的な信用力の向上」です。
国の補助金に採択されるということは、その企業の事業計画が「実現可能性が高く、革新的である」と国や専門家からお墨付きを得たことを意味します。BtoBビジネスにおいて、取引先や金融機関からの信用は生命線です。「経済産業省管轄の補助金事業に採択された」という実績は、新規取引先へのアピール材料になるだけでなく、金融機関からの融資を受ける際にも有利に働くケースが多くあります。

第三に、「サプライチェーン全体でのDX加速」です。
現在、大企業を中心にサプライチェーン全体のデジタル化が進んでいます。受発注データの連携や在庫情報の共有など、取引先からのデジタル対応要求は年々高度化しています。補助金を活用して社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることは、自社の業務効率化だけでなく、取引先にとっての「付き合いやすいパートナー」としての地位を確立することに繋がります。

このように、補助金活用は単にお金をもらうための手段ではなく、BtoB企業が次なるステージへ進むための重要な経営戦略なのです。

BtoB企業に適した補助金とは

補助金には数多くの種類があり、業種や解決したい課題によって最適な制度は異なります。自社のビジネスモデルに合致しない補助金を選んでしまうと、採択率が下がるだけでなく、使い勝手の悪い投資になりかねません。ここでは、BtoB企業の主要な業種別に、活用すべき代表的な補助金を紹介します。

製造業向けの補助金

製造業にとって設備投資は競争力の源泉であり、最も補助金との親和性が高い業種と言えます。

まず検討すべきは「ものづくり補助金」です。これは中小企業向けの補助金の中で最も代表的なもので、新製品・新サービスの開発や、生産プロセス改善のための設備投資を支援します。例えば、最新の5軸マシニングセンタを導入して加工精度を高めたり、生産管理システムを導入してリードタイムを短縮したりする場合に最適です。

また、昨今のエネルギー価格高騰に対応するための「省エネ関連の補助金(省エネルギー投資促進支援事業費補助金など)」も重要です。老朽化した空調設備やコンプレッサー、生産ラインを高効率なものに更新することで、ランニングコストを削減しながら補助を受けられます。

さらに、深刻な人手不足への対策として「省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)」の活用も進んでいます。自動搬送ロボットや検品ロボットなどをカタログから選んで導入する形式で、申請の手間が比較的少なく、即効性のある投資が可能です。

卸売業・商社向けの補助金

卸売業や商社は、単に「物を右から左へ流す」だけのモデルからの脱却や、物流効率化が求められています。

大胆な事業転換を目指す場合に活用したいのが「新事業進出補助金(事業再構築などの枠組み)」です。例えば、これまで特定メーカーの商品を卸すだけだった企業が、自社ブランド商品を開発してメーカー機能を保有したり、海外市場へ進出したりする場合などが対象となります。既存事業の売上が減少傾向にある場合、思い切った業態転換の支えとなります。

また、業務効率化の観点からは「IT導入補助金」の活用が欠かせません。受発注業務の自動化(EDI)、倉庫管理システム(WMS)の導入、インボイス制度に対応した会計・販売管理ソフトの刷新などが対象です。特に物流業界の「2024年問題」に対応するため、配車管理システムや在庫の見える化ツールを導入し、業務時間を削減する取り組みは採択されやすい傾向にあります。

ITサービス・コンサルティング業向け

形のある設備を持たないITサービス業やコンサルティング業の場合、主な投資対象は「販路開拓」と「業務効率化」になります。

新規クライアント獲得のために有効なのが「小規模事業者持続化補助金」です。これは、BtoBマーケティングを強化するための費用を補助するものです。具体的には、自社サービスのランディングページ(LP)制作、Web広告の出稿、業界展示会への出展費用、営業用パンフレットの作成などが対象となります。金額規模は比較的小さいですが、販路拡大に直結する使い勝手の良い補助金です。

また、「IT導入補助金」も有効です。自社内でのプロジェクト管理ツール、営業支援システム(SFA)、顧客管理システム(CRM)などを導入することで、属人化しやすい業務を標準化し、生産性を高めることができます。PCやタブレットなどのハードウェア購入費が補助対象になる枠組みもあるため、リモートワーク環境の整備にも役立ちます。

BtoB企業の補助金活用事例

実際に補助金を活用して課題解決や事業拡大に成功したBtoB企業の事例を具体的に見ていきましょう。自社の状況と照らし合わせることで、活用のイメージがより明確になるはずです。

生産性向上につながった設備導入

ある金属部品加工メーカー(従業員30名)の事例です。
この企業では、熟練職人の高齢化が進み、手作業による検品工程がボトルネックとなっていました。受注は増加傾向にあるものの、検品が追いつかずに納期遅延が発生し、取引先からの信頼低下が懸念される状況でした。

そこで、「ものづくり補助金」を活用し、画像処理技術を用いた「自動外観検査装置」と、検査データと連動する「生産管理システム」をセットで導入しました。
導入の結果、これまで人間が目視で行っていた微細なキズや寸法のチェックが自動化され、検査工程の人員を3名から1名(監視役)に削減することに成功しました。空いた2名の人員は、人手不足だった製造ラインと営業部門へ配置転換を行いました。

さらに、検査データがデジタル化されたことで、不良発生の原因分析が迅速に行えるようになり、歩留まりが15%向上。生産能力全体が底上げされたことで、大口顧客からの短納期オーダーにも対応できるようになり、売上高は前年比120%を達成しました。まさに「守りの品質管理」を「攻めの生産体制」へと変革した成功事例です。

新規事業展開での活用

次は、食品卸売業(従業員15名)の事例です。
この企業は、主に地域のホテルや飲食店へ業務用食材を卸していましたが、コロナ禍の影響や原材料高騰により利益率が低下。特定の大手取引先への依存度が高く、取引先の方針転換や値下げ要求が経営を直撃する「下請け体質」からの脱却が急務でした。

そこで、「新事業進出補助金」を活用し、自社の調達ルートを活かした「オリジナル・レトルト食品の開発・製造」に乗り出しました。具体的には、小型の真空充填機や殺菌装置を導入し、社内にテストキッチン兼小規模工場を設置。さらに、これまでのBtoBルートだけでなく、ECサイトを構築して直接販売も開始しました。

結果として、自社ブランド商品は粗利益率が高く、卸売業の薄利多売モデルを補完する新たな収益の柱となりました。また、「自社で商品開発ができる卸問屋」という独自のポジションを確立したことで、既存の取引先(ホテル等)からも「オリジナルのお土産品を作ってほしい」というOEM依頼が舞い込むようになりました。補助金をきっかけに、単なる「流通業」から「企画・製造・販売業」へとビジネスモデルを進化させた事例です。

BtoB企業特有の申請ポイント

BtoB企業の補助金申請書(事業計画書)作成において、BtoC企業とは決定的に異なるポイントがあります。それは、「市場ニーズの証明方法」と「論理的な波及効果の説明」です。審査員は、その投資が本当に利益を生み出し、社会に貢献するかを厳しくチェックしています。

取引先との関係性の説明方法

BtoCビジネスであれば、アンケート調査や市場統計データを用いて「一般消費者のニーズ」を説明しますが、BtoBビジネスの場合、それでは説得力が不足します。審査員が最も評価するのは、「特定の取引先からの確実な需要」です。

申請書には、以下のような具体的なエビデンス(根拠資料)を盛り込むことが重要です。

  1. 発注内示書・基本契約書: 既に具体的な案件が動いていることを示す最強の根拠です。
  2. 取引先からの要望書: 「御社が新しい設備を導入し、加工精度が向上すれば、ぜひ発注したい」「〇〇のシステムを入れてデータ連携ができれば、取引量を増やせる」といった、取引先担当者の生の声が書かれた書面を用意します。
  3. 商談議事録: 具体的な課題や解決策について話し合った記録も有効です。

「設備を入れれば、どこかが買ってくれるだろう」という希望的観測ではなく、「既存の取引先A社がこの設備を求めている。だから導入すれば確実に売上が立つ」というロジックを組み立てることが、BtoB企業の採択への近道です。また、自社がサプライチェーンの中でどのような役割を担っており、自社の課題(ボトルネック)を解消することが、取引先にとっていかにメリットがあるかを論理的に説明しましょう。

波及効果の書き方

補助金は税金が原資であるため、単に「自社が儲かる」だけでは高い評価を得にくい傾向があります。その事業が成功することで、周囲にどのような良い影響(波及効果)を与えるかを記述する必要があります。

BtoB企業の場合、以下のような「三方良し」の視点でストーリーを描きます。

  • 取引先への貢献: 短納期化による在庫リスク低減、高品質化による最終製品の競争力向上など、発注元企業のメリットを具体的に書きます。
  • 協力会社への貢献: 自社の受注が増えることで、材料仕入れ先や外注先への発注も増え、地域経済が活性化することをアピールします。
  • 従業員への還元(賃上げ): これが現在、最も重要な加点要素の一つです。生産性向上によって得られた利益を内部留保にするだけでなく、従業員の賃上げに還元する計画を数値目標として記載します。

「この投資は、自社だけでなく、サプライチェーン全体を強くし、従業員の生活も豊かにする」という大義名分を示すことで、審査員の心に響く事業計画書となります。


BtoB企業にとって、補助金は不確実な時代を生き抜くための強力な武器です。設備投資やDX推進を検討しているなら、まずは自社の業種や課題に合った補助金がないか確認することから始めてみてください。そして申請の際は、取引先との強固なパートナーシップを証明し、説得力のある事業計画を作成しましょう。

補助金の制度は複雑で頻繁に変更されるため、申請にあたっては専門家である中小企業診断士や、認定経営革新等支援機関である金融機関・会計事務所等へ早めに相談することをおすすめします。

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